前回の記事の「扱っていないこと」に、こう書きました。軽減税率の対象品目である旨を書けていない、明細の行が受注なので品目が出ていない、この形で要件を満たすか確認が要る、と。

確認しました。1枚で満たす必要がありませんでした。

1枚で満たさなくていい

国税庁のQ&A(問67)に、こうあります。

適格請求書とは、必要な事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば、請求書に納品書番号を記載する方法など)で交付されていれば、これら複数の書類に記載された事項により適格請求書の記載事項を満たすことができます

条件は2つです。書類どうしの関連が明確であることと、取引内容を正確に認識できること

このQ&Aには請求書の記載例も載っていますが、その明細は納品書番号と金額が並んでいるだけで、品目がありません。前回作った請求書とほぼ同じ形です。 足りないと思っていたものが、組み合わせを前提にすれば足りていた、ということになります。

納品書がもう持っていた

では納品書のほうは足りているのか。出してみました。何も足していない、EC-CUBE 4.4 の納品書です。

納品書のPDF。右上に登録番号:T1234567890123、注文番号202607220101、明細に事務用品セットと来客用飲料(軽減税率)※が並び、下に※は軽減税率対象商品です、さらに下に(8%対象: ¥5,015 内消費税: ¥371)(10%対象: ¥12,006 内消費税: ¥1,091)と出ている

揃っていました。登録番号も、品目も、軽減税率対象である旨の記号も、税率ごとの税込対価と消費税額も出ています。

記載事項をどちらが持っているかで並べるとこうなります。

記載事項どちらが持つか
登録番号両方に出る
取引年月日納品書
取引内容と軽減税率対象である旨納品書
税率ごとの対価の額と適用税率納品書
税率ごとに区分した消費税額等納品書
交付を受ける者の名称両方に出る
書類どうしの関連請求書の明細に並ぶ注文番号

前回は「税率ごとに分けて集計するところから作り直し」と書きましたが、納品書の側は作るものがありませんでした。

両方に書くと数字が2つになる

ここが今回いちばん厄介なところでした。

前回、請求書に税率ごとの内訳を足しました。締め単位で1回だけ丸めて、10%が¥8,824、8%が¥2,081。

納品書には、受注ごとに丸めた額が出ています。6件ぶんを足すと¥8,821と¥2,078。

同じ取引について、2つの数字が取引先に届きます。 前回測った6円の差が、そのまま書面の食い違いになります。

問67は、この点にも触れています。納品書に消費税額等を記載するため、納品書につき税率ごとに1回の端数処理を行うこととなります、と書かれています。読み替えると、消費税額を書いた書類の単位で丸めることになるということです。

なので、先に決めるのはどちらに書くかです。

消費税額を書く場所端数処理の単位あわせて必要になるもの
請求書請求ごとに1回品目も請求書に載せる(1枚で完結させるなら)
納品書納品書ごとに1回請求書に登録番号と納品書番号

下を選びました。納品書がもう全部持っているからです。 上を選ぶと、品目を請求書に並べる作り直しが要ります。6件の受注に2品目ずつなら12行、明細が2段構えになります。

請求書から内訳を外した

前回足したものを外しました。

請求書のPDF。登録番号と請求番号、締め日、件数、ご請求金額¥125,153、6件の注文番号が並ぶ明細表。税率ごとの内訳はなく、表の下に「品目、適用税率および税率ごとの消費税額等は、注文番号ごとの納品書に記載しています。」と1行入っている

代わりに、納品書を見てもらうための一文を入れました。関連づけは明細に並ぶ注文番号です。納品書にも同じ注文番号が印字されているので、どの行がどの納品書かをたどれます。

足したものを翌日に外すことになりました。 ただ、前回の計算が無駄だったとは思っていません。請求書1枚で完結させる方針に切り替えるなら、締め単位で丸めた額がそのまま要ります。

締め単位の計算は残した

管理画面には残しました。

管理画面の請求の明細。税率ごとの内訳として10%対象¥97,061 消費税¥8,824、8%対象¥28,092 消費税¥2,081が並び、その下に「締め単位で計算した社内確認用の数値です。請求書には印字しません。消費税額は納品書に記載されます。」と注記がある

社内確認用と断ってあります。 何も書かずに置いておくと、画面の数字と請求書の数字が違うことに後で誰かが気づいて、また同じところを調べ直すことになります。

前回書いたことの補足

前回「この形のままで要件を満たすかどうかは確認が要ります」と書いたのは、確認した結果としては半分だけ当たっていました。請求書1枚だけを見れば足りていません。納品書と組み合わせる前提なら足ります。 ただし組み合わせるには条件があって、それが関連の明確さと、消費税額を二重に書かないことでした。

この記事で扱っていないこと

納品書を取引先へ届ける手段を作っていません。 管理画面から出力はできますが、月締めの取引先に毎回渡す運用は別の話です。組み合わせで成立させる以上、納品書が相手の手元にあることが前提になります。

返品や値引きに対応していません。 返還インボイスは前回から引き続き手つかずです。

(追記:返品は締めたあとに返品が来たらで対応しました。値引きと部分返品は引き続き手つかずです。)

税理士の確認を受けていません。 根拠は国税庁のQ&Aを読んで書いています。実際に運用するなら顧問の税理士に見てもらってください。

まとめ

決めたこと理由
請求書に品目を載せない1枚で満たす必要がない
消費税額は納品書に書く納品書がすでに全部持っている
請求書からは消費税額を外す丸めの単位が違い、数字が2つ届く
関連づけは注文番号納品書に同じ番号が印字されている

前回は請求書を1枚で完成させようとして、足りないものを数えていました。書類をまたいで成立させる前提に変えたら、作るものが減りました。 減った代わりに、納品書を必ず渡すという運用側の約束が増えています。どちらが軽いかは店舗によると思います。